救急隊が現場で使用する携帯電話は、病院への搬送連絡だけでなく、通報者や家族など関係者への連絡手段としても活用されます。
そのため、この携帯電話には迅速かつ確実な通信が求められます。
しかし最近、「救急隊からLINEで連絡が来た」といった情報や噂を目にすることがあります。
果たして本当に、救急隊はLINEで連絡をしてくるのでしょうか?
結論から言えば、そのようなことはほとんどあり得ません。
今回は、元救急隊員としての経験をもとに、その理由を詳しく解説していきます。
救急隊の携帯にLINEはインストールされていない
私が勤務していた消防本部では、救急隊の携帯電話にはLINEアプリそのものがインストールされていませんでした。
というのも、救急隊が使用するのは、医療用の専用携帯であり基本的には通話のみのシンプルな機能に制限されているからです。
業務中の私用連絡やSNS利用を避けるためにも、そういったアプリの使用は厳しく制限されておりLINEでやり取りする環境はそもそも整っていません。
傷病者のLINEを使って連絡することはあるのか?
意識のある傷病者が、自分の携帯電話を使って家族に連絡したいと申し出た場合、その希望に応じることはあります。
このようなケースでは、隊員が安全を確認したうえで、本人が自分のスマートフォンを操作し、LINEなどで家族や知人に連絡を取ることは可能です。
一方で、救急隊が傷病者のLINEを操作して、家族や関係者に連絡することは、ほとんどないと言ってよいでしょう。
LINEは既読確認が不確実で、相手が確実に読む保証がないうえ、第三者がメッセージを見る可能性もあるため、緊急の連絡手段としては信頼性に欠けるからです。
つまり、LINEによる連絡が行われるケースはあくまで傷病者本人の希望に基づき本人自身が操作する場合に限られます。
意識がない場合はどう連絡するのか?
意識がない、または意思表示ができない場合は、警察官の協力を得て持ち物や身分証から身元や家族の連絡先を確認します。
その後は、救急隊の携帯電話か警察官の電話を使って家族に直接連絡を行います。
このような場面でも、LINEでの連絡は一切使用しません。
文字情報よりも、確実な会話での連絡が必要な場面だからです。
LINEで救急隊を名乗る連絡が来たら要注意!
仮に「救急隊からです。ご家族が搬送されました」といったメッセージがLINEで届いたら、それは詐欺やなりすましの可能性が高いと考えるべきです。
そもそも、救急隊がLINEで連絡してくること自体が想定外ですし、受け取った側も「本物か?」と疑問を抱くでしょう。
正規の救急隊がLINEで連絡してくることはまずありません。
まとめ|救急隊からLINEで連絡が来ることはない
- 救急隊の携帯は、通話専用の医療用端末
- LINEはインストールされておらず、使用不可
- 傷病者の希望があっても、電話が基本
- 意識がない場合は、警察と連携し電話連絡
- LINEで連絡が来たら疑ったほうがよい
救急車を呼ぶような非常時は、命に関わる緊急事態です。
そんなときに、LINEでの曖昧な連絡は現場の混乱を招くだけでなく被害を拡大させかねません。
「救急隊がLINEで連絡をしてくる」という情報を見かけたときは、冷静に判断し正規の手段での確認を行うことが大切です。
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