「救急車を呼したはずなのに、なぜか消防車も一緒に現場に来る…?」
「救急車はどこに行ったんだろう?」
私も最初はそう思っていました。特に消防車が先に到着する場合は、余計に疑問が湧きます。
しかし現場での経験から分かったのは、消防車が出動するのには明確な理由と目的があるということです。
この記事では、元救急隊員の経験を基に、救急車と消防車がどのように連携して活動しているのかを解説します。
1. 消防車と救急車は連携して活動する
消防車は火事のときだけ出動するものではありません。
救急現場でも、救急隊と連携して活動する重要な役割を担っています。
消防隊は現場管理や安全確保だけでなく、
- 傷病者の搬送補助
- 救急処置の協力
- 通路の確保や現場の安全管理
など、救急隊を支援する役割があります。
つまり、消防車が一緒に来るのは消防隊の協力が必要だと判断された場合なのです。
2. 消防車が出動するケース
消防車が出動する理由は複数あります。主なケースは次の通りです。
- 重症が疑われる通報
心肺停止、心疾患、脳血管障害、意識障害など、緊急性の高い傷病が疑われるとき。 - 救急隊だけでは対応が難しい場合
2階以上の階段搬送や、体重が重く人手が必要な場合、狭い場所での移動が困難な場合。 - 処置や活動の協力が必要な場合
傷病者の安全な搬送や救急処置の円滑化など、現場での支援が必要な場面。
つまり「搬送困難だから消防車が来る」というわけだけでなく、処置補助や現場全体の安全確保のためにも消防隊は出動します。
3. 消防隊の支援で現場がスムーズに
消防隊が到着すると、次のような支援が行われます。
- 傷病者の搬送補助(階段や狭い場所での協力)
- 救急処置の補助(CPRや資器材の準備)
- 通路確保や安全管理
この協力により、救急隊はより迅速かつ安全に活動できます。
私も現場で、搬送困難な傷病者のために消防隊を呼んだことがあります。
説明はしていたものの、サイレンを鳴らして消防車が到着すると、「そんなの聞いてない!なんでサイレンを鳴らすの?」と怒鳴られたこともありました。
また、消防隊として先に到着した現場では「救急車を呼んだのに、なんで消防車が来るの?早く運んでほしいのに!」といった声を受けることもありました。
4. よくある誤解
「救急車だけで来てほしい」という希望は理解できます。
しかし、現場では傷病者と隊員の安全を最優先にすることが原則です。
そのため、通報内容や現場の判断で消防車が必要と判断されれば、希望に関わらず出動する場合があります。
消防車の出動は、単なる「希望の問題」ではなく、危険側に立った運用の一環なのです。
5. Q&Aでよくある疑問に答えます
Q1. 消防車が先に来たけど、救急車は本当に来るの?
→ はい、来ます。消防車の方が近くに配置されている場合、先に到着することがあります。その間に消防隊が現場を整えるので、救急車が到着次第すぐに活動できます。
Q2. どうしてそんなに大人数が必要なの?
→ 救急処置や搬送は人手が必要です。特に重症の傷病者や搬送困難な現場では、数人がかりで安全に対応する必要があります。
Q3. 「消防車は呼ばなくていい」と通報時に伝えれば来ない?
→ 希望を伝えることは可能ですが、最終的には指令センターと現場の判断で決まります。
消防車が出動するかどうかは通報内容や状況に基づく判断であり、通報者の一存で来る・来ないを決めることはできません。
なぜなら、傷病者のためにも危険側に立った運用を心掛けるからです。
6. まとめ
- 消防車は火事だけでなく、救急隊の活動を支えるためにも出動する
- 出動理由は「搬送困難」だけでなく、重症の疑い・処置の協力・安全管理など幅広い
- 消防隊の支援により、救急現場は安全かつスムーズに進む
最初は「なんで消防車も来るんだろう?」と不思議に思うかもしれません。
しかし、消防隊と救急隊が一緒に活動することで、傷病者にとっても救急隊員にとってもより安全で確実な救急活動が行えるのです。
しかし実際には、消防隊と救急隊が一緒に活動することで、傷病者にとっても救急隊員にとっても、より安全で確実な救急活動が行えるのです。
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