救急車で行けば早いは本当?トリアージの現実と待ち時間の仕組み

「救急車で行けば、すぐ診てもらえる」——本当にそうでしょうか?

元救急隊員としての答えははっきりしています。

早さを決めるのは到着手段ではなく「トリアージ(緊急度・重症度の優先順位)」です。

救急外来は先着順ではありません

明らかに命に関わる人から先に診る

そのため、軽症なら救急車で来ても待ちます

大きな病院ほど患者が集中し、数時間待ちになることもあります。

この記事では、なぜ待ち時間が伸びるのか、どんなときに119するべきか、迷ったときの相談先まで、わかりやすく説明します。

目次

TL;DR(要点まとめ)

  • 救急外来は先着順ではなくトリアージ
  • 救急車=優先ではない。緊急度・重症度=優先
  • 大病院ほど軽症は待ちやすい
  • 命の危険を感じたらためらわず119。迷えば#7119。
  • 発症時刻・症状の変化・内服を伝えられると診療が早い。

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結論:救急車でも、軽症なら待ちます

  • トリアージで優先順位が決まるからです。
  • 自力来院でも重症ならすぐ診療、救急車でも軽症なら待機
  • 「救急車で行けば早い」は誤解になりやすい表現です。

トリアージ(緊急度・重症度の優先順位)の目安【例】

救急外来では、到着後すぐに看護師さんが症状とバイタルを確認し、緊急度・重症度で振り分けます(呼称や基準は医療機関により異なります)。

  • 最優先(レベル1):今すぐ処置が必要
     例)心停止、重い呼吸不全 など
  • 緊急(レベル2):できるだけ早く対応
     例)脳卒中が疑われる突然の麻痺・言語障害、強い胸痛 など
  • 準緊急(レベル3):遅らせにくい
     例)中等度の腹痛、脱水 など
  • 低緊急(レベル4):待機可能
     例)軽いけが、かぜ症状 など
  • 非緊急(レベル5):処置不要に近い状態

ポイント到着手段ではなく症状の危険度で優先が決まります。

なぜ「救急車で行けば早い」と思われやすいのか

  1. サイレン=最優先のイメージが強い
  2. 受付前のトリアージが見えにくく、仕組みが知られていない
  3. 混雑(検査・人手・ベッド)の影響が患者側からは分かりづらい

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来院後の流れ——どこで時間がかかる?

  1. 受付 → トリアージ(問診・バイタル)
  2. 医師診察
  3. 検査(採血・レントゲン・CT/MRIなど)
  4. 結果待ち・処置
  5. 会計・帰宅 or 入院手続き

待ち時間が伸びやすい場面

  • 軽症判定で呼び出し優先度が低い
  • CT/MRI・採血ラインが混む
  • 専門医が別症例対応中で呼出し待ち
  • 入院ベッド待ちで滞留
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ケース別イメージ(何が優先される?)【例】

  • 突然の片麻痺・言葉が出ない(脳卒中疑い)
    レベル2(緊急):迅速に画像検査(CT等)・専門科コールへ。発症時刻の聴取が重要。
  • 強い胸痛・冷汗・吐き気(心筋梗塞疑い)
    レベル2(緊急):心電図を最優先、採血→循環器コールで対応を急ぐ。
  • 発熱+軽いのど痛み・全身状態良好
    レベル4〜5(低〜非緊急):待機の可能性が高い。状況により発熱外来や一般外来の案内。

ためらわず119するべきサイン

  • 意識がもうろう/反応が乏しい、けいれんが続く
  • 息が苦しい、唇や爪が紫色
  • FAST(顔のゆがみ・腕が上がらない・言葉が出ない)
  • 強い胸の痛みや圧迫感、冷汗、吐き気
  • 大量出血、重い外傷、高所転落・交通事故
  • ひどいアレルギー反応(呼吸苦、顔の腫れ)
  • 乳幼児の高熱+ぐったり/妊娠中の激しい腹痛 など

命の危険を感じたらすぐ119。迷うときは#7119に相談を。

迷ったときの相談先・受診先

  • #7119(救急相談):症状から受診の目安や医療機関を案内
  • 夜間・休日急患センター/発熱外来:軽〜中等症の一次対応に便利
  • かかりつけ医・地域クリニック:翌営業日の予約やオンライン診療も活用

※地域で窓口や時間が異なります。自治体サイトの確認もおすすめです。

準備で時短:持ち物&伝え方テンプレ

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🧰 すぐ準備できる“時短グッズ”

  • お薬手帳ケース:診察券・保険証・医療証をひとまとめ。搬送時の提示がスムーズ
  • 救急ポーチ:絆創膏・ガーゼ・ハサミ等を携行。軽外傷や応急処置に便利

お薬手帳ケース

救急ポーチ

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持ち物

  • 健康保険証/マイナ保険証
  • お薬手帳・アレルギー情報
  • 現金・キャッシュレス、スマホ充電
  • 基礎疾患メモ(病名・かかりつけ・普段の薬)

伝えること(短く要点)

  • 発症時刻(いつから・どの瞬間に)
  • 症状の変化(良くなった/悪化した)
  • 痛みの場所・強さ・性質(刺す、締め付け、広がる)
  • 飲んだ薬(解熱剤など)と使用時刻
  • 既往歴(心臓病・脳卒中・妊娠など)

情報がそろっているほどトリアージが正確になり、無駄な再問診や検査待ちが減る=実質的な時短につながります。

よくある質問(FAQ)

Q. 救急車で行くと費用は上がりますか?
A. 搬送そのものは無料(※民間救急などは別)。医療費・時間外加算は通常どおりかかります。

Q. 軽症で大病院に行くとお金が余計にかかることは?
A. 紹介状なし初診などで選定療養費がかかる場合があります。金額・条件は病院ごとに異なるため、各医療機関の案内を確認してください。

💬 受診費用や自己負担は「高額療養費」で抑えられる場合があります
👉 詳しくはこちらの記事へ

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Q. 救急車で来たら必ず先に診てもらえますか?
A. いいえ。トリアージ(緊急度・重症度の優先順位)が最優先。軽症は待機になります。

Q. 付き添いは必要?
A. 高齢者・小児・持病がある方は付き添い推奨。病歴や内服情報を補足でき、進みがスムーズです。

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まとめ

  • 救急外来はトリアージ(緊急度・重症度の優先順位)で動いています。
  • 軽症は救急車でも待ち重症は自力来院でも先に診療
  • 命の危険を感じたらためらわず119。迷えば#7119。
  • 発症時刻・症状の変化・内服情報をまとめておくことが、最短ルートです。

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この記事を書いた人

高校3年で「安定していそう」という理由から国家三種を受験し、合格。
高校卒業後に入職したのは、ちょうど郵政組織が「公社化」へ移行するタイミングでした。
受験時は国家公務員として受けたつもりが、気づけば郵政公社。
制度の変化もよく分からないままのスタートでした。

その後、「もっと現場で人の役に立ちたい」との思いから消防職員に転職。
救急隊員として十数年、命の最前線で活動してきました。
多くの現場を経験する中で、「働くこと」「人生の選択」について深く考えるようになり、現在は民間企業に転職しています。

このブログでは、公務員試験や公務員としての実情、そしてその後のキャリア選択について、実体験をもとに発信。
救急や消防のリアルを知ってもらうことで、救急車の適正利用や防災意識の向上につながれば とも願っています。

公務員という“安定した仕事”の内側や、そこからの転職に悩む人にとって、少しでもヒントや勇気になれば嬉しいです。

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