日本では「救急車=無料」が当たり前。
ですが一歩海外に出ると、国や州によって“無料/有料/一部負担”が大きく違うのが現実です。
さらに同じ国の中でも州・準州・県・自治体単位でルールが変わることが珍しくありません。
旅行や出張の最中、突然の発熱やケガ、交通事故。英語が十分でなくても、救急車を呼ぶ判断は数秒で迫られます。
そのとき「ここは無料?有料?いくら?」と迷ってしまうと、必要な処置が遅れかねません。
元救急隊として現場にいた視点から、「何が無料で、どこから費用がかかるのか」をまずわかりやすく押さえ、
そのうえで準備しておくと差がつく“旅行保険の要点”まで、2025年の最新傾向に合わせてシンプルに整理しました。
この記事を読めば、国別のざっくり傾向→無料でも請求が生じやすい場面→出発前のチェックリスト→実際に困ったときの動き方まで、必要な流れを一気に把握できます。
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TL;DR(最初に全体像)
- 無料の国:日本・イギリス・韓国
└ 搬送は無料でも、診療・検査・入院は別料金。 - 一部自己負担がある国:ドイツ・フランス・スイス
└ 公的保険で多くカバー、少額の自己負担や免責が発生。 - 原則有料の国:アメリカ
└ 事業者・保険の契約範囲(ネットワーク)で金額のブレが大きい。 - 地域差が大きい国:オーストラリア・カナダ・ニュージーランド
└ 州・準州・県ごとに住民無料/定額/距離制などルールがバラバラ。
世界の“ざっくり国別メモ”
- 日本:搬送は無料。大病院へ紹介状なしで受診すると別途費用が生じる場合あり。
- イギリス:緊急搬送や救急外来は無料が基本。ただし旅行者の入院・処置は有料になることがある。
- 韓国:119の救急搬送は無料。病院での費用は別。
- ドイツ:医療上必要な搬送は公的保険の対象。少額の自己負担が一般的。
- フランス:公的保険が基本を負担し、残りは任意保険(補完保険)で補うのが一般的。
- スイス:自己負担・免責(フランチャイズ)の影響が大きく、想定より費用がかさむことがある。
- アメリカ:原則有料。ネットワーク外だと高額請求になりやすい。
- カナダ:州ごとに定額・距離制・住民優遇など制度が異なる。
- オーストラリア:州・準州で制度が違う。住民は無料の地域もあれば会員制・有料も。
- ニュージーランド:全国で患者の一部負担が設定。会員制度で負担軽減できることも。
- シンガポール:真に緊急の公的救急は原則無料だが、非緊急は有料となる運用あり。
※ここでの整理は搬送費の話。搬送後の診療・検査・入院費は別計算で、国籍・保険の有無により大きく変動します。
「無料でも請求される」典型パターン
- 搬送は無料だが、病院費用は普通にかかる
診察・検査・処置・入院は国を問わず費用計上が基本。無料=搬送だけと理解しておく。 - “非緊急”扱いで自己負担
通報内容や現場評価で緊急性が低いと判断されると、自己負担が発生する国・地域がある。 - 自己負担・免責(フランチャイズ)
欧州などの公的+任意保険型では、あらかじめ決まった自己負担額や免責が設定されている。 - 地域差・制度変更
同じ国でも州・県・自治体で金額・条件が異なり、年度で改定されることも珍しくない。

旅行前の備え:ここだけ押さえればOK
- 治療費用(Medical):上限は10万USD以上を目安に(渡航先によってはより手厚く)。
- 救援者費用(Evac/Repatriation):25万USD以上を目安に。空路搬送は高額化しやすい。
- キャッシュレス対応:24時間サポート・提携病院の有無、日本語対応の可否を確認。
- 既往症の扱い:条件付きでカバー可のプランもあり。約款を事前に確認。
- スポーツ・アクティビティ特約:スキー・登山・マリン等の予定があれば必須。
- 自己負担(免責):0に近いほど現地での実費が発生しにくい。
- 緊急連絡体制:保険会社の緊急連絡先をスマホ&紙で携帯。家族・同行者とも共有。
▶ 旅行先で役立つ“最低限の備え”4点
トラブル時はこの順で動く(3ステップ)
- 命の危険があれば、まず現地の緊急番号に通報(例:欧州112/米国911 など)
- 落ち着いたら加入保険のサポート窓口へ連絡
提携医療機関の案内、支払い方法、必要書類の指示を受ける。 - 受診時に伝える情報を準備
- 症状の始まり・経過
- 既往歴・内服薬・アレルギー- パスポート番号・連絡先
(スマホメモ or 事前に印刷して携帯すると早い)
- パスポート番号・連絡先
よくある質問(FAQ)
Q. 「無料の国」なら保険は不要?
A. 必要です。無料は搬送費の話で、診療・入院は別料金。国や病院によっては高額になります。
Q. クレジットカード付帯だけで十分?
A. 上限不足・利用条件つきのケースが多め。治療費用と救援者費用の上限、キャッシュレス可否を必ず確認。
Q. 子ども連れで不安。最低限の持ち物は?
A. お薬手帳情報(アプリ/写真)・解熱鎮痛・整腸・経口補水粉末・体温計・保険連絡先はマスト。
Q. 非緊急で病院に行きたいときは?
A. ホテルや現地観光案内、保険会社のサポートに提携クリニックを教えてもらうのが安心。救急の混雑回避にもつながります。
▶ 応急手当ミニセット(自宅・旅先の両方で)

まとめ
現場では現地の緊急番号→保険サポートの順で動けばOK。
これだけで“最悪の遅れ”はかなり避けられます。
搬送が無料=全部無料ではない。
特に病院での費用と自己負担・免責に注意。
アメリカ・スイス・州や県で制度が分かれる国は、請求額のブレが大きい。
出発前に最新の公式情報と保険の約款を確認し、治療費用+救援者費用をしっかり備える。



▶ 待合の音ストレス対策に:静音グッズ
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